サウダーヂな夜

キリからの手紙。

  • BID60|2017年04月18日


お父さん、お母さん

お久しぶりです。連絡無精なおかげで心配をかけておりますが、私は元気にやっています。

いつもいつも野垂れ死んでいないかどうか確認してくるけれど、私もあと2年で三十路ですし、健康で文化的で必要最低限の生活を営むくらいの生命力はどうにか持ち合わせているので大丈夫です。それに新しい職場の上司と毎日を過ごしていると、人生どうとでも楽しく生きていけるような気がしてならないので、どうぞご心配なく。

我が家の苗字は確か加賀百万石の時代が由来でしたよね。偶然にも、私の新しい上司は加賀さんと言います。笠岡出身です。

加賀さんは上司だけど、全然おごってくれません。でも加賀さんのランチの予算は500円だから仕方ないのです。この間、二人でうどんを食べに行った時、「きりちゃん財布持った?」と確認されました。

商店街のてんちかを通って、私達はいりこに行きました。加賀さんは周りの飲食店を眺めては「たけーなあ。」と呟きます。私は初めてのいりこだったので、加賀さんに倣って注文をすることにしました。かけの中300円と海鮮かき揚げ120円。計420円です。加賀さんはそれにおにぎりを追加していたので「ちょっとオーバーしたなあ。」と笑っていました。ねぎや天かすなどはセルフで盛ることができます。加賀さんはねぎが好きなのでたくさんいれます。「きりちゃん、今日はとろろ昆布がないわ。いつもはちゃんとあるんよ。丁度切れとるわ。いつもはちゃんとあるんじゃけどな。」と教えてくれました。加賀さんの面白いところは、なんでも本気で説明してくれるところです。海鮮かき揚げを食べながら「芋ばーじゃなあ。」とぼやき、でもニコニコして美味しそうにうどんをすするので、加賀さんとのランチは楽しいなあと思いました。

歩いて帰ってる途中、「きりちゃんとオーバーオール被っとるけん、じろじろ見られるわ。」と言われたけど、それは私だけのせいじゃない気がします。だって、加賀さんはどうも注目を集めてしまう愛くるしい風貌をしているのです。後頭部からチャーミングが溢れているのです。

職場へ戻る前にコンビニでコーヒーを買いました。レジ前で「きりちゃん、ええか?」と聞いてきたので、自分で払いますって言ったら「よし。」と言われました。

そんな感じの毎日です。だんだんと周りのペースにも慣れてきて、私にも加賀さんをいじれるくらいの余裕が出てきました。「いやいや、おかしいじゃろ。」が加賀さんの口癖だけど、加賀さんはいじればいじるほど喜ぶので、職場の士気を高めるためにも、加賀さんをいじり続けることが私の使命だと思っています。

それから、加賀さんは結構いい年してるけど、多分貯金はないです。(お父さんと大して変わりません。)いつもボロッボロのコンバースを履いています。

お母さんはいつも口うるさく「貯金をしなさい。」と言っていたけど、お金がなくても笑って楽しく過ごしている加賀さんをみると、将来を心配しすぎるのは勿体ないなあって思います。

とにもかくにも、私の周りにはびっくりするくらいに駄目な大人がいっぱいいます。だけど、みんな不思議なくらいにエネルギッシュでたくましくて、しょうもないことで沢山笑って、何だかよくわからないけど、とても羨ましく思うのです。どういう訳か、私もそういう大人になりたいなあと魔が差してしまうのです。

ついつい長くなってしまいました。そんなわけで、仕事の方も何とかやっていけそう。落ち込むこともあるけれど、私この街が好きです。

お父さん、お母さん、お店がオープンしたら是非一度遊びにきてください。

共感いただけましたら、シェアなどよろしくおねがいします。

香具師 Profile

きり

サウダーヂな夜スタッフ

ひょんなことから毎週日曜日「サウダーヂな夜」の昼営業にて働くことになりました。城下をぶらぶらする際には、ぜひ私の話し相手になってください。もしくは面白い本もあるのでふらりと読書に寄っていただけたら。

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