サウダーヂな夜

あーあ、勘違い。

  • BID30|2016年10月10日


ある日の昼休み、外へ出るのに、昼食を買う小銭と事務所の鍵と携帯電話と現像に出したい写ルンですを、スカートのポケットへと上手にしのばせていたところ、上司に「女の子なんだから」と、呆れたようにたしなめられた。

いやいや、かばんを持たないのがかっこいいのだよと心のなかでつぶやきながら、ふふふと笑ってごまかした。

私は男性のぐっとくる仕草をどうも真似したくなる。恋人に限らず、道行く男性、友人や家族…「かっこいいな」と思ったら、すぐに私の生活に取り入れてみる。

例えば、メールに絵文字は使わない。時々、グッドの指マークを使ってみる。小銭をじゃらじゃらポケットに入れて、自販機で甘いコーヒーを買う。かばんはなるたけ持たない。自分の持ち物はポケットで全てまかなう程度にコンパクトなのがいい。家に帰って、行く先をなくした小銭はテーブルの一ヶ所にまとめて無造作に。(さすがに邪魔くさいのでお洒落な卵パックの中に。)運転中、道にいれてもらったらオーバーに手をあげてサンキューサインを出す。腕時計を袖の上からつける。などなど。

それが、とびきりかっこいいと信じているのに、次見た時、その男性がその仕草を忘れていると、猛烈にがっかりする。だけど、私はかっこよくて魅力的だと思うから、自分の仕草にしてしまう。

ある日の昼休み、facebookを眺めていると、とあるリンクを発見。「男性を信じられない」という女性の相談内容をキレッキレの内容で論破する住職。

読んでみると、自分より頼りになる男性がいないから結婚する気になれないという内容。その回答には、逆の立場から考えてみましょうとあり、「近頃の女性は、女らしいおしとやかさも、かれんさもないから好きじゃない」とスネている男性に対して、あなたはやさしく、ないしは女らしく振る舞おうとできますか。と書いていた。そして締めには「頼りがいのある男性に出会えないのは、自分の性格ゆえでは?」と一言。

これを読んで、私はとんかちで頭を打たれたみたいにくらくらした。そうだった…、私が男性らしさを求めることはあちらも同時に女性らしさを求めておいでだということ、すっかりと頭から抜け落ちていた。私の仕草は決して女らしくはない。なんせ男性の「かっこいい」を真似ているのだから。

まあ、落ち着いて考えてみたら当たり前のこと。そうそう、だっていつでも自分のことは棚にあげているもの。隣の女の子はかばんの中から可愛いポーチを取り出している。私はいつもそういう女の人の仕草を良いなあと愛でていたけれど、傍観者になっている場合ではない、それこそ取り入れるべき仕草だったのだ。そういえば、私の可愛い女友達はポケットの小銭をみて、私にコインケースをプレゼントしてくれたことがある。

私が男性の仕草を真似するのは、好きな人と同じノート、同じ鉛筆、同じ香水、そんな少女のような気持ちの延長線上だった。だけどどこかで間違っていたらしい。天上天下唯我独尊、とんだ勘違いロードを爆走していた。自分がまるで男性になっていることに気がついて、驚きがかくせない。

ががーん、しばらく私は女の人を研究することにします。

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香具師 Profile

きり

「ヒバリ照ラス」スタッフ

ひょんなことから毎週日曜日「サウダーヂな夜」の昼営業にて働くことになり、ひょんなことから表町商店街のヒバリ照ラスで働いています。

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