サウダーヂな夜

「状況リサイタル」 第ニ夜/予選通過

  • BID21|2016年08月22日

今年はブラジルでオリンピックがある年だったそうで、相撲(正確にはスポーツではないと思っている)とテニス以外のスポーツ観戦にはほぼ別段なんの興味も無くなってから久しい不肖私は、例によって始まる直前までまったくそんな意識もなく興味もなく、のんべんだらりといつもと変わりない日常を消費しつつ、キリングミーハードリーな酷暑な夏を謳歌していた。しかし、生まれてこのかた、自他ともに認める筋金入りのテレビッ子でもあるという悪癖が災いし、否応無しにオリンピックが始まったという、別段知りたくもない事実を、抵抗する暇もない丸腰な状態で知らされることになったわけであるが、すでにそのオリンピックも終りを告げた。

職業がら帰宅はほぼ毎日深夜になる。そしていつもの様に帰ってすぐにテレビをつければ、どのチャンネルへ回してみても、放映権の都合上少しでも多くのスポンサーをつけて視聴率を稼いでペイしなければならないという大人の都合満載の、あの五つの輪っかに支配されたるスポーツマンシップ映像が手を変え品を変え繰り出されており、通常の番組ルーティーンは完全に破壊し尽くされているという状況の一方で、一介のテレビ視聴者に過ぎない不肖私は、当然の事ながらそんな大人の事情に全く抵抗が出来ぬまま、流れるまま、その場の雰囲気になされるがままに、うっかり夜な夜な、様々なスポーツを観戦してしまうという想定外なブラックホールへと迷い込んでしまったわけである。

その上にブラジルと日本の時差的な事情により深夜に決勝が行われることが多く、多くのハイライトが不肖私の生活リズムにまんまとリンクしてしまったせいもあり、そんなことで今回は不覚にもオリンピックをいつになく観戦してしまったわけである。

不肖私にとってのこの事実は、想いを告げられない片恋の君がいるにも関わらず、カーステからのサザン、開放的な夏の日差しと焼けたビーチ、+飲めない酒にほだされて、好きでもない人に、うっかり処女や童貞を捧げてしまう、といった、すでに遠き日である青春時代にありがちな一夏限りの、一晩限りの甘い事故の様な、ほろ苦いアバンチュールを連想せしむるに十分な、何かしらの、ある種の懐かしい高揚感と同時に虚無感や敗北感を喚起するのであった。

ここで注意したいのは、不肖私はスポーツ及びスポーツ観戦を否定、もしくは侮蔑している、ということでは決してない、ということである。

嫌いなどころか、元来運動神経は至って平凡であるが、小学校の時分に野球は苦手なくせに読売巨人軍の帽子に大好きだった篠塚選手の背番号である6という数字を、金色の金属で出来た数字の6というシールでカスタムして被っていたし、ファミスタも好きだったし、習い事と言えば学区のスポーツ少年団で剣道一筋の少年剣士でもあった。
父親の影響で得意なスポーツはスキーだったこともあって、小学校三年生の将来の夢の寄せ書きには、畏れ多くも前の吹く将軍、プロスキー選手と書いたことさえあった。
活躍とは無縁であったが一応レギュラーとして中学高校も六年間ずっと運動部であったし、昭和時代独特の先輩からの不条理なシゴキの洗礼も一通り脱落することなく通過してきた。成人後もやれウイニングイレブンだ、やれワールドカップだと、今思えば一応人並みにスポーツと言うものを身近に感じては暮らしてきたように思う。

そんな事から、体育会系がなんたるか、とか、一皮むいたスポーツマンシップの醜悪さやいかがわしさ、しかれども一方で確実に存在するであろう純然たるスポーツにおけるスポーツの崇高さや、スポーツ及びスポーツ観戦が如何に楽しい娯楽産業であるか、という事実も、これまた一応人並みには理解もしているつもりだし、運動、及びその周辺に漂う空気感のなんたるか、という、そういう場所でのテーペーオー、すなわち身のこなし方も身につけているつもりであった。

ということもあって、重ねてになるが、冒頭に「久しく」と書いた通り、昔は人並みにスポーツにふれあい、無意識にスポーツを楽しい娯楽として認識しようとしていたものと思われる。

しかし、いわゆる言うところの大人になって、生来の天の邪鬼気質も手伝ってか、いつの頃からか、そう言う認識は、右も左も分らない少年時代よりの成長過程において、無意識な日常で少しずつ、知らず知らずの間にレイヤーのように積み重なっていった、その時々と場合による空気のようなものであったり、他者との見えざる関係を円滑に、もしくは好意的に構築する為に無意識に脅迫共有している様な、いわば無駄な俄ファン的で対人関係における小手先テクニック的なバイアスであった、と言う事に気がついてからは、スポーツに限らず、これまで普通に接してきた様々な事象に対して、長年にわたって無意識に積み重なってしまった諸々のそのような手垢にまみれたバイアスのレイヤーを、今度は注意深く一枚一枚めくっては廃棄して、間違っていたらまた戻して、といった作業に拍車をかけることしたのである。

要は、スポーツでもなんでも

自分、なんかそれ楽しいとかやべえとかよーるけど、それホンマなん?
自分、なんかそれ好きとかハマっとるとかよーるけど、それホンマなん?

といった、まあ屁理屈の様でもあるし、なんちゃって禅問答のようなことをくりかえしたわけで、その結果どうなったかと言うと、根本である自分自身と言うのは別段何も変わらないわけだが、ただ社会での立ち振る舞いを前提とした、勘違いの自己顕示欲の拡張でしかなかった好きや楽しいといった事の多さに、愕然とするよりほかなかったわけである。

ありゃ、自分、なんて軽薄なんでしょ。と。

で、彼岸と此岸の間を往来しながら浮世において無意識で作り出してきた、ぼんやりとした認識の「なんとなくクリスタル」な自分と言うものが、今度ははっきりと「なんちゃってクリスタル」となって輪郭を見せ始めるので、今度はそことの戦いとなって行く。

戦いと言うよりも、そんななんちゃってな自分の存在に耐えると言った方が正しかろうか。

それはどういう事かと言えば、積年に渡る無駄な武装と途方もない勘違い自己顕示欲の拡張によりハリボテの鎧を纏っていた看板建築のごとき佇まいの取り壊し作業によって、次々と表出してくる剥き出しの自分というものは、昔の仕出し弁当に入っていた衣ばっかりの海老のテンプラのようで、衣が取れたそれはいかにみすぼらしかったか、という現実にである。

そんなこんなで、確かに昔よりはすっきりしたし、とても乱暴かつ語弊がある書き方をすれば、前にも増して好きや肯定より圧倒的に嫌いや否定の方が多くもなった。その語弊と言うのは、裏返せば本当は全てを肯定しているといことになるわけであるが、まあ一時が万事こんな調子だから、他人から見ても随分と偏屈で理屈っぽいであろう面倒くさい人間に成り果てたとも思う。


ということで

そんな否定多き右曲がりのダンディー

もとい

へそ曲がりなパンピー

不肖私としまして

本当はオリンピックに興味などないのである。

スポーツマンシップなどくそくらえである。

素直になって♡

本当はオリンピックを誰よりも思いのほか楽しんだのである。

スポーツマンシップはすばらしいのである。

だが、世間様はそんなこととっくの昔から知っているわけである。

そしてそんな屁理屈極まりない不肖私は

人間として予選落ちなのである。

と、

こんな不肖私でも優しく暖かく迎えてくれたオリンピックに対し

かくの如き非常にみっともない我を晒し

かくの如き大恥をかくのである。

ま、

往々にしてよくある話である。

皆様

そんな自分を愛そうではないか。

ビバオリムピック。



それにしても、日本代表の各種ユニフォーム。

あれはどうしたものだろうか。

日本と言えばすぐ桜。

日本と言えばすぐ赤白。

ダサイという表現は

最低か

最高の中でも最上級を指すと思われる。

少なくとも私はそうである。

あれはそのどのダサイにも当てはまらない。

最低でも最高でもない

端にも棒にも、物干竿にもひっかからない所にあると思われる。

一番やってはダメなダサイである。

ある見方をすれば新種のダサイ、であるようにもみえて

新たなポジションをを伺おうとしてるようにも見えるが

残念ながらそうではないのである。

それはダサイに対して失礼千万である。

これはお洒落であるとかお洒落でない

といった議論ではない。

そんな事はどうでもよろしい。

それ以前のもんだいであると思われる。

どうせダサイなら一番最低か

もしくは最上級のダサイにするべきであった。

この度の日本選手はメダルの有無、予選決勝の進退に関わらず

スポーツマンとして全員予選通過であるが

しかし

あのユニフォームは予選落ちなのである。

あれだけはどうにかならなかったものか。。

悔やまれてしょうがないのである。

それだけが

なんとも後味の悪いオリンピックであった。

しかし土壇場

閉会式の東京五輪のプレゼン。

これは賛否両論あろうが

僕はとてもよかったと思っている。

そしてこの後の及んでまだ減らず口をたたくとすれば

不肖私

オリンピックなどに興味はないのだ。

私は視聴者としても

予選落ちである。





ご清聴ありがとうございました。

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「状況リサイタル」

香具師 Profile

中西 亘

「状況」主宰
瀬戸内プレーボイズ団長
ロックバンドPo-Boysのボーカル

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