サウダーヂな夜

オールナイトキャッスル。

  • BID103|2018年01月27日


20XX年、とあるシティにて語られるおとぎ話。それは小さな小さな村にあったサウダージ城でのできごと。

城主は大層困り果てていたそうな。なんでもサウダーヂ城恒例の神事に村人が集まらなくなったらしい。かつてはそのムラも大勢のイケてるナウでヤングな村人たちで大変フィーバーしておったそうだ。しかし、それも昔の話。悩んだ城主はついにプレイボーイズ十勇士を呼び集めた。そこに集うは年老いた5人のプレイボーイズ。「お主ら、普通のおじさんに戻れい!」サウダーヂ城に城主の令が響き渡る。プレイボーイズの解散を以ってせねば、もはや神事継続の危機はまぬがれなかった。プレイボーイズ諸星亘は、解散を心に決めた。瀬戸内の潮の香りとともに裸体を晒し続ける事早16年、ついにこの日がやってきたかと腹を括る。

そして来る大晦日、路面電車の信号も消え、夜も更け始めた頃、プレイボーズがそろりそろりと集まり、軍議を凝らす。刻限まではあと少し。だがしかし、来ないのだ。サウダーヂ城のだるまを長年務めた縁起頭の加賀大明神が大事な軍議にやって来ない。暗雲立ち込める中、またも城主の怒号が響く。「きり!加賀に伝令を出せい!」伝令を受けた大明神からはなんともふ抜けた返事。「え?え?11時半じゃろ?行く行く、行くって。」なんとまあ先が思いやられる。

城の外はすっかり静まり、頬を撫でる風が刺すように冷え込む、子の上刻。ついに瀬戸内プレイボーイズ、恒例のビンタとともに神事の時がやってきた。彼らはせっせと餅をつきだした。「こーねこね、こーねこね、こーねこね」老いぼれプレイボーイズの姿が村人たちにさらされる。特に白ふんどしのリーダーはタヌキのようにふ抜けた裸体だ。しかし彼らは気にすることなく、餅をこねた。あとは餅をつきつきして、人間書き初めというなかなかえぐい見世物では毛量の多い諸星亘が筆となり、プレイボーイズで大きな「マル」を書いた。

さて、肝心の村人たちの反応はというと、どうにも寂しい、いや、とてもアットホームなものであった。そうして神事は静かにあっという間に終了した。

後に、きりは語る。神事が終わって、プレイボーイズはみんな服に着替えた後のこと。カモンさんには一年間ほど熱烈に求愛されてきたけど、ふんどしにトレンチコートとベレー帽姿をみたら、そういうところだよなあって、驚くほど心が動かないのってそういうとこって思うんだよね。加賀さんが嬉しそうに「アウトー!カモンくんアウトじゃろー!」って叫んでた。リーダーはさ、ふんどし姿に靴下履いて寒かったんだろうなあ。りゅうじさんは一体いくつかわかんないけど、老いに混ざって自分の若さをアピールしてあざといよね。隙あらば、女の人に抱きつこうとして。わっくんはさあ、ああいう「演じる」が終わったら、話しかけづらいんだよね。だから普段のほとんどってことね。とにかく、プレイボーイズは夜明けを待たずに、普通のおじさんに戻って後片付けをして帰っていったよ。初詣に行く気力もないなんて、本当普通のおじさんだよね。だけどさ、街にかかってた魔法も実はとっくに解けちゃってたんじゃないかな。プレイボーイズは何だかちょっとだけ往生際の悪いシンデレラみたいにみえた。あとさ、誰も「解散」って明言してなかったけど、まさかね。ずっと閉店セールみたいなこと、まさかないよね。

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香具師 Profile

きり

「ヒバリ照ラス」スタッフ

ひょんなことから毎週日曜日「サウダーヂな夜」の昼営業にて働くことになり、ひょんなことから表町商店街のヒバリ照ラスで働いています。

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